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フォニックスという教授法を聞いたことがありますか?
英語圏の幼稚園や小学校で使用されている教授法なんです。
近年の子供英会話教室ではこのフォニックスを取り入れたレッスンを行っているところが非常に多いです。というか必須かも。
このフォニックス、まだ読み書きのできない子供はもちろん、読み書きができるようになった大人にも知って欲しいメソッド。
今回はフォニックスについて、一体どんな仕組みの教授法なのか、フォニックスを学ぶことによってどんなことが身に着くのか、おすすめの教材などもご紹介します。
目次
フォニックスって何?

フォニックス(Phonics)とは19世紀の初めに生み出された、単語の綴りと音の持つ法則を学ぶことで読み書きを学ぶ教授法です。
現在はアメリカ、イギリス、カナダをはじめとした英語圏の幼年教育で広く使われています。
アルファベットそれぞれにある音やアルファベットの組み合わせによって持つ音を覚え、音の組み合わせから単語が成り立っていると考えます。
日本語はひとつの文字に1音が当てられているので、見たまま読めば良いのですが、英語はそうとは限りません。
母音と子音があり、その組み合わせや法則を知らなくては読むことが出来ないので、英語圏では子供たちが読めるようになるのに時間がかかるのです。
そこで、子供たちが効率よく、わかりやすく読み書きを学ぶことが出来るようにと研究を重ねられてきたのがフォニックスです。
私がフォニックスに出会ったのは、子供英会話講師の資格を取るために、講座に通っていたころ。「あぁ!!なるほど!!ほんまや!!」と目からウロコが落ちたとは、まさにあのことでした。
フォニックスの歴史

19世紀初めにはすでに生まれていたフォニックスですが、その効果が認められたのは1950年頃。
それまでは、綴りと音の持つ法則が複雑すぎて、子供たちに習得は難しいだろうという議論が続いていました。
単語を部分部分で読むフォニックスに対し、単語全体を見て丸ごと覚えていくホール・ランゲージという方法、どちらが効果的なのかという比較がなされてきました。
数々の研究が重ねられた結果、フォニックスは子供が読み方を学ぶのに効果的な方法であると認められ、1990年頃から英語圏に広まることとなりました。
日本では1979年に、現在フォニックスの一人者と言われている松香(まつか)洋子さんという方がフォニックスを取り入れた英語教育を行うため、「松香フォニックス研究所」を立ち上げます。
英語圏より遅れますが、日本にも徐々に広まり、現在子供英会話教室ではフォニックスを取り入れているところがほとんどです。
フォニックスの効果
文字の持つ音や、複数の文字の組み合わせが作る音を学ぶことにより、こんなことが出来るようになります。
- 単語を読むことができるようになる
- 単語を聞いて書くことができるようになる
- 美しい発音が身に着く
- 英語を聞き取る耳が育つ
私の教室では、幼稚園からフォニックスを導入し始めます。
幼稚園の3年間は、言葉遊びのような感じでフォニックスを暗唱したりして、体に馴染ませます。
覚えることを目標にはしていませんが、リズミカルにみんなでフォニックスを言ううちに、自然と頭に入っている子も多いです。
小学生になると、フォニックスをしっかりと覚えましょうというスタンスになります。まずは簡単な、アルファベット26文字のフォニックスを覚えるところから。
すると、いつの間にか短母音の単語(cat,dog,bedなど)は読めるようになっていきます。
短母音の単語を読めるようになったら、二重母音(cloudやseaなど)、2文字以上の子音の組み合わせ(thやch,phなど)など、複雑なルールを学びます。
私の教室では、4年生の終わりには読めない単語がないくらいにまではなるように指導しています。
フォニックスの種類
アルファベット26文字のフォニックス
基本中の基本となるフォニックスです。
aは[ei]というアルファベットであると同時に[a]という音を持つという概念です。
同様に
eは[i:]という名前で[e]という音
iは[ai]という名前で[i]という音
oは[o:]という名前で[o]という音
uは[ju:]という名前で[ʌ]という音
それぞれ、アルファベットの名前と持つ音が違うということを学びます。
アルファベットのフォニックスの動画
短母音
a,e,i,o,uの母音を使った単語の読み方を学びます。
例えばcatはcの音[k]、aの音[a]、tの音[t]の組み合わせで出来ています。
c,a,tと文字を分けてそれぞれの音を確認した後、3文字をくっつけると[k/a/t]=catとなります。
長母音
母音はそれぞれ、最低2種類以上の音を持ちます。
a,e,i,o,uというアルファベットは短母音[a/e/i/o/u]と、アルファベットの名前と同じ音[ei/i/ai/ou/ju]という音も持っており、それらを長母音と読みます。
例えば
baby[ei]
meter[mi:]
mice[mai]
broke[brou]
human[hju:]
という風に、それぞれアルファベットの名前をそのまま発音するのが長母音です。
二重母音
ow,ai,ou,など、ふたつの母音が連なり2つの音を出すことを言います。
このとき、それぞれの音は短母音で読みます。
owは[au]aiは[ei]、ouは[au]と読みます。
例としては
cow[kau]
sail[seil]
round[raund]
というような単語が挙げられます。
サイレントe
cake,lake,toneなどのように、[_母音_e]の組み合わせの場合、母音は長母音になり、eは読まないというルールがあります。
cake[keik]
lake[leik]
tone[to:n]
など。
2文字以上の子音
ふたつの文字を連ねて、基本のフォニックスの音以外の音を作り上げるものもあります。
thは[t]の音も[h]の音も持たない代わりに、[θ](thankのth、上の歯を軽く舌に当てて息だけ吐きだす)、[ð](thisのth、上の歯を軽く舌に当てて声を出す)という音になります。
ch[ tʃ ](chickenのch)
sh[sʃ](shipのsh)
ph[f](phoneのph)
wh[w](whatのwh)
フォニックスを学ぶ際の注意点

カタカナで書かない
インターネットで調べるとaを[ア]、bを[ブ]、cを[ク]と書かれていることもあるかもしれませんが、これは絶対にオススメしません。
英語の音は、日本語の文字で書くことは不可能です。
上記の動画を観ていただいたらわかるかと思いますが、cは決して「ク」ではなかったことがお分かりかと思います。
catは[k][a][t]なのであって、[クアトゥ]とするとcatと読むことはできません。
それぞれの文字が持つ音をカタカナで書いてしまうと、フォニックスの意味がなくなるので、日本語の文字で覚えるのではなく、聞いた音をそのまま覚えるようにしましょう。
フォニックスをきちんと学んだ人の発音を聞くこと
フォニックスというのは簡単そうに見えて奥が深く、また最近になって広まったメソッドであるため、特に年配の講師はフォニックスを深く学ぶことなく教えていることがあります。
実際に耳にしたことがありますが、ネイティブの講師でもフォニックスの音をきちんと発音していないことすらあるんです。フォニックスで読みを学んでいない世代の人に多いようです。
一番間違いのないのは、フォニックス教材を使用すること。
間違った音を学ぶと、きちんと読むことができなくなるので重要なポイントです。
おうちでフォニックスを導入する場合は、おうちの方が教材を使って音を覚えてください。
ちなみにフォニックスは英語力とは関係ないので、音とルールさえ覚えれば英語が堪能でなくても理解できるようになります。
フォニックスは大人の英語学習者にもおすすめ

フォニックスは子供だけでなく、大人にも学んでほしいメソッドです。
「発音に自信がない」「もっとキレイな発音を目指したい」という人も、フォニックスで1文字1文字の音を学びなおすことで、発音が確実に美しくなります。
それと同時に、今まで何気なく読んでいた単語はすべてルールに則っていたということに気づきます。
英語を勉強している人には、レベル関係なく触れてみて欲しいです。
フォニックスはあなたの英語力の大きな基礎になる

今回はフォニックスについてのお話でした。
フォニックスができれば英語がペラペラになる!ということではありませんが、英語を読む力、聞く耳を養い、美しい発音を身に着けることは、語彙力や文法力と同じくらいに大切な要素です。
確実に英語力の大きな基礎の部分になりますので、年齢関係なくフォニックスを取り入れてみてください。
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